
神奈川県伊勢原市で地域の環境を取り入れた建築を目指し取り組んでおられるMIYAJI SPACE DESIGN一級建築士事務所の代表、宮地友康様に、「かん太」の採用経緯や使用感を伺いました。
愛甲石田駅イルミネーション

愛甲石田駅前のロータリーに設置されたこちらのイルミネーションのフレームにかん太が採用されています。右の高さ4mほどのピラミッド型フレームと、2つのハートを支えるスタンド型のユニット、合計3つで構成されています。もともとこちらのイルミネーションフレームの設計がきっかけで、かん太をご存知いただいたとのこと。周りに住宅も多く、真冬の荒天や強風にも耐える構造を作るために単管パイプを構造素材として選定されたそうです。

複雑すぎない構成で設計されており、宮地様の組やすさを重視した配慮が伺えます。というのも、こちらのイルミネーションフレームは地域の自治会の方が自ら組み立てているそうで、「一番最初は時間がかかりましたが、最近は自治会の皆さんの方のほうが手際よく組み立ててくれます。」と仰っていました。単管クランプなども検討しましたが、やはり組み立ての手間がかかってしまうこと、住民の手で組み立てるためには難易度が高いことから、かん太をご採用いただいたとのこと。「女性や子どもの方々も手伝ってくれるので、特殊な工具が必要なく、ありきたりな工具で手作業で組み立てられるというのは大きなポイント」だったそうです。


数年繰り返して使用いただいているそうで、単管パイプにはそれなりの年季が入っているように見受けられますが、弊社金具自体に大きなサビは出ておらず安心しました。
石田自治会館
※以下、宮地様のインタビューより抜粋

かん太採用の経緯
最初は単管パイプではなく、既製品のフェンスなどを検討していました。ここは年輩の方も利用する自治会館で、フェンスのすぐ先は駐車場となっているため、それなりの強度を備えた安全柵も兼ねるように設計しています。近年のコスト高でなかなか予算が見合わず、既製品フェンスと単管パイプ+ジョイントを比べたところ、後者が安価だったため、単管パイプとかん太を採用することにしました。

かん太に更に塗装
今回の建物は単管パイプやジョイントの「めっき剥き出し」が似合うデザインではありませんでした。今回はがっちり、重めのデザインで「安定」や「重厚感」を出したかったので、そうなるよう塗装を選択しました。
一番悩んだのは塗装方法です。手塗りか、工場塗装か。手塗りのほうが予算的には圧倒的に安価なんですが、色ムラが出てしまい、美観的には劣ります。一方、工場塗装は色ムラなくきれいに仕上がるけれど、塗装工賃がそれなりに掛かってしまいます。施主様とギリギリまで相談した結果、きれいに仕上がる方が良いとご判断いただき、工場塗装することになりました。
塗装は自動車などの板金塗装と同じクオリティのものなので、汚れなどはさっと拭き取るだけできれいにすることができ、メンテナンスにおいても優れています。こういった機能を塗装によって追加できるところもかん太の優れた点だと思います。
今回ご使用いただいた「かん太 Sタイプ」は、表面処理に電解亜鉛めっきを採用しています。電解亜鉛めっきは10~20μm程度の非常に薄い防錆被膜を形成する表面処理です。薄膜であるため、鋳物の凸凹とした鋳肌の表面粗さが潰れることなく、塗装が乗りやすいというメリットがあります。

独自設計ならではの機構
上写真の箇所は一時的にパイプを外すことができるよう設計しています。前述の通り、年輩の方が利用される公共施設ですので、車椅子などのバリアフリーも意識しました。金具をスライドさせ、ジョイントのビスを緩めると一区画分のパイプが外せるので、駐車場から入口まで回り込むことなく、ダイレクトにアクセスすることができます。安全に配慮して十分な強度を保ちつつ、外したいときは簡単に外すことができる。このような既製品では対応が難しい設計にも、柔軟に対応できるのは非常に優れたポイントです。

総合評価
総合的には「ありがとうございます」としか言えないですね。デザイン性が好きな方には刺さるデザインですし、金具の種類も豊富。さらに問屋を通さずネット通販で購入できますので、短納期で入手しやすいという点も、設計する上で非常に良かった点でした。